
自社サイトに加工事例を並べて、問い合わせにつなげる手順
自社のホームページはある。 でも、そこから問い合わせが来たことは、ここしばらく思い出せない——そんな引っかかりを抱えていないでしょうか。
サイトを開くと、会社の住所と設備一覧、あいさつ文。それはそれで間違っていません。 ただ、初めて見に来た人が本当に知りたいのは「この工場は、どんなものを、どのくらいの精度で作れるのか」です。そこが見えないと、腕は確かでも「うちの仕事を頼めるかどうか」が判断できません。これは、あなたの工場の技術が足りないという話ではなく、その技術がサイトの上で見える形になっていないだけのことです。
この記事では、自社の加工事例を、見た人が「ここに頼めそう」と思える形で少しずつ並べていく手順を、一緒に整理します。
結論:まずは自信のある加工品を3つだけ選び、それぞれに「写真」「材質・加工方法」「サイズや精度の目安」「どんな用途・困りごとに応えたか」を1セットで載せます。難しい文章はいりません。この4点がそろった事例が数個あるだけで、見た人が問い合わせ前に「頼めそうか」を判断しやすくなります。
立派なサイトに作り替える必要はありません。 今あるページに「加工事例」のコーナーをひとつ足すだけでも十分に始められます。大事なのは体裁より、「何が作れるか」が写真と数語で伝わっていることです。
何が起きているか — 「作れるもの」が見えないと問い合わせは止まる

初めて工場を探している人は、たいてい急いでいて、不安も抱えています。 「この加工、どこに頼めるだろう」「小ロットでも受けてくれるだろうか」「精度は足りるだろうか」。その状態でサイトを開いたとき、会社概要や設備名だけが並んでいると、判断する材料がありません。
- 設備一覧はあるが、その設備で「何を作ったか」が見えない
- 加工品の写真がなく、仕上がりの雰囲気が想像できない
- どのくらいの精度・サイズまで対応できるのかがわからない
- 小ロットや試作を受けてくれるのか、ページからは読み取れない
これは、サイトの作りが悪いというより、現場では当たり前すぎて「わざわざ載せるもの」と思っていなかっただけ、という面が大きいです。 毎日作っているものは、自分たちにとっては普通の仕事です。でも、外から探している人にとっては、その普通の一つひとつが「頼めるかどうか」を決める貴重な手がかりになります。
手順を小さく分けて、事例を1つずつ載せる
いきなり全部の加工品を整理しようとすると、写真を撮る前に手が止まります。 まずは、自信のあるもの・よく受けるものを3つだけ選んで、そこから始めましょう。
まず、載せる加工品を3つ選ぶ。 「これはうちの得意」「よく相談される」ものを3つ。特別な代表作でなくて構いません。むしろ日常的に受けている仕事のほうが、同じような困りごとの人に届きます。
次に、写真を撮る。 スマホで十分です。明るい場所で、背景をなるべくすっきりさせて、部品全体が分かる1枚と、加工面など見せたい部分の寄り1枚。手のひらや定規と一緒に写すと、大きさが伝わりやすくなります。
その後、4点をそえる。 写真に、①材質と加工方法(例:アルミ/マシニング加工)、②サイズや精度の目安、③どんな用途・困りごとに応えたか、を短く添えます。文章は1〜2行で大丈夫。「小ロットの試作に対応」など、受けられる条件が一言あると親切です。
最後に、問い合わせ先を近くに置く。 事例のすぐそばに、電話番号やメール・問い合わせフォームへの入り口を置きます。「似た加工のご相談はこちら」の一言があるだけで、見た人が次の一歩を踏み出しやすくなります。
一度に立派なページにしようとしないのがコツです。 まず3事例を載せてみて、反応を見ながら少しずつ足していく。写真の撮り方や説明の粒度も、続けながら自分たちの形に整えていけば十分です。
載せるときに気をつけたいこと
事例は、出し方をひとつ間違えると気まずさや面倒につながります。いくつかだけ、先に押さえておきましょう。
- 取引先の名前や図面は、勝手に載せない:守秘義務のある仕事も多いはずです。社名・製品名・図面そのものは避け、「自動車部品の一部」など用途をぼかした書き方にとどめ、迷うときは取引先にひとこと確認を。
- 精度やサイズは「目安」と分かる書き方に:「±0.01mmまで対応」と言い切ると、条件次第で守れないときに苦しくなります。「〜程度まで対応した実績があります」のように、実績ベースの表現にしておくと安全です。
- 写真は自社で撮ったものを使う:ネットで拾った画像や、他社の加工品を使わない。自分たちが作ったものを、そのまま見せるのがいちばん信頼につながります。
- 完璧をめざして止めない:写真が少し暗くても、説明が短くても、載っていないよりずっと伝わります。まず出して、あとから差し替えれば大丈夫です。
なお、事例の見せ方や必要な情報は、扱う加工や取引先の事情によって変わります。 ここで挙げた4点はあくまで基本形です。自社が受けたい仕事に合わせて、載せる項目や言い回しは遠慮なく調整してください。大事なのは体裁ではなく、「うちに何が頼めるか」が初めての人に伝わることです。
加工事例を載せるチェックリスト
(最初は自信のある3事例を載せるだけでOK。以下は、慣れてきたら順に進めれば大丈夫です。)
- 載せる加工品を、まず3つにしぼれているか
- 各事例に、全体が分かる写真と見せたい部分の寄りがあるか
- 材質・加工方法を短く書いてあるか
- サイズや精度を「目安・実績」として書いてあるか
- どんな用途・困りごとに応えたかが一言あるか
- 取引先名や図面など、出してはいけない情報を避けているか
- 事例のそばに問い合わせの入り口があるか
- 写真は自社で撮ったものを使っているか
全部にチェックがつかなくて大丈夫です。 まずは「3事例に写真と4点をそえる」ところまでできれば十分。用途のぼかし方や問い合わせ導線は、載せながら整えていけば構いません。
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自社の腕を外に伝えるのは、一度で完成させる仕事ではありません。 今日、自信のある1つを写真に撮ってみる。明日、そこに材質と用途を書き足してみる。その積み重ねで、事例ページは自社に合った形に育っていきます。
派手な宣伝でなくても、今日その1事例を載せたことが、まだ見ぬ誰かに「ここに頼めそう」と伝わり始めています。 毎日当たり前に作っているその一つひとつは、外から探している人にとっては、確かな手がかりになります。