事務所の机で数量ごとの単価をメモに書き出し、電卓と図面を前に落ち着いた表情で見積を整理する町工場の担当者

ロット別単価表の作り方 数量で変わる単価を一枚に整理する

「100個でお願いしたら1個いくら?」 見積を出したら、続けて「じゃあ300個なら? 500個なら?」と聞かれる。 そのたびに電卓を叩き直して、少し待たせて、また計算して。

そんなやりとり、心当たりはありませんか。

数量が変わると単価が変わるのは、決していい加減に値決めしているからではありません。 段取りや検査のように「そのロットで1回だけかかる費用」があるから、数が増えるほど1個あたりの負担が薄まる。 これはとても真っ当な仕組みです。

ただ、聞かれるたびに計算し直していると、時間もかかるし、答えがその場の勢いで少しぶれてしまうこともあります。 そこで役立つのが「ロット別単価表」です。

この記事では、数量で単価が変わる理由を整理して、その場で答えられる一枚の表を、一緒に作っていきます。

結論:費用を「1回もの(段取り・初物検査など)」と「1個もの(材料・加工など)」に仕分けて、1回ものを数量で割って1個ものに足す。これを数量の段階ごとに計算して一枚の表にしておけば、数量を聞かれてもその場で単価を答えられます。まずは代表的な部品ひとつで作ってみるのがおすすめです。

なぜ数量で単価が変わるのか

かかる費用は、大きく2種類に分けられます。

単価が数量で変わるのは、この「1回もの」があるからです。 1回もの5,000円を100個で分ければ1個あたり50円ですが、500個で分ければ10円になります。 数が増えるほど、1個が背負う1回ものの負担が軽くなる。 これが「たくさん作ると安くなる」の正体です。

逆に言うと、少ない数のときは1個ものに1回ものがどんと乗るので、単価は高くなります。 これは値引きの押し引きではなく、費用のかかり方をそのまま映しているだけです。

具体例:一枚の表にしてみる

変動費に固定費を数量で割って足すと、数量が増えるほど単価が下がることを示す説明図

例として、ある部品Aで考えてみます。数字は説明用の仮のものです。

このとき、数量ごとの単価は「300円 + 5,000円 ÷ 数量」で計算できます。

数量1個もの1回もの÷数量単価(目安)
50個300円100円400円
100個300円50円350円
300個300円約16.7円約317円
500個300円10円310円

50個だと1個あたり100円も1回ものが乗るのに対し、500個なら10円まで下がります。 数量が10倍になると、1回ものの負担は10分の1。だから単価は400円から310円へ、じわっと下がっていきます。

この表が手元にあれば、「300個なら約317円です」とその場で答えられます。 毎回ゼロから計算し直さなくてよくなるのが、いちばんの効きどころです。

明日やること:小さく作ってみる

いきなり全部品ぶんを作ろうとせず、まずは代表的な1品目から始めましょう。

1. 費用を「1回もの」と「1個もの」に仕分ける。 その部品を作るのにかかる費用を書き出して、「数を作れば増えるもの(1個もの)」と「そのロットで1回だけのもの(1回もの)」に分けます。迷ったら「もし数量が2倍になったら、この費用も2倍になる?」と自問すると分けやすいです。2倍にならないものは1回ものです。

2. 代表の数量を3〜4段階だけ決める。 実際によく来る数量に合わせて、たとえば「50・100・300・500」のように段階を決めます。最初から細かく刻まなくて大丈夫です。よく聞かれる数量が入っていれば十分役に立ちます。

3. 「1個もの + 1回もの÷数量」で各段階を計算して表にする。 Excelなら、1回もののセルを数量で割る式を1回作って、あとは数量を変えるだけです。手計算でも、上の部品Aのように4行埋めれば表になります。

4. 最小ロットの下限も決めておく。 数量がうんと少ないと単価が跳ね上がり、相手も驚きます。「これ以下だと1回ものが重すぎて割に合わない」というラインを決めておくと、小口の相談にも落ち着いて答えられます。単価が高くなる理由を、この記事の考え方でそのまま説明できます。

一度作っておけば、次に同じ部品を聞かれたときは表を見るだけ。 「ちょっと待ってくださいね」と電卓を探す時間が、少し減っていきます。

チェックリスト

数量を聞かれるのは、相手が本気で検討してくれているサインでもあります。 その場でさっと答えられると、こちらの見積への信頼も少し増していきます。 まずは1品目、一枚の表から始めてみましょう。

完成した単価表を手に、取引先からの数量の問い合わせに落ち着いて電話で答える町工場の担当者の明るい様子

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