壁に貼ったスキルマップの前で、誰がどの作業をできるか担当者とリーダーが確かめ合う町工場の情景

スキルマップのつくり方、多能工化はまず一枚の表から

「この加工、◯◯さんが休むと止まってしまう」。 そんな作業が、現場にいくつ思い浮かぶでしょうか。

少人数の町工場ほど、一人ひとりが別々の機械や工程を抱えています。 それで普段は回っているのですが、誰かが休んだり辞めたりした瞬間に、急に現場が詰まってしまう。 多能工化を進めたい気持ちはあっても、日々の納期に追われて後回しになりがちですよね。

この記事では、多能工化の第一歩として、一枚のスキルマップを作る進め方を一緒に整理します。

結論:いきなり全員を多能工にしようとしなくて大丈夫です。まずは「誰が・どの作業を・どこまでできるか」を一枚の表にするだけ。できる人が一人しかいない作業(属人化)が見えれば、どこから手を打つかが自然と決まります。

スキルマップは、難しい人事制度ではありません。 縦に人の名前、横に作業や工程を並べ、できる度合いを記号で埋めるだけの表です。 まず、次の3つを決めれば形になります。

  1. どの作業を並べるか(現場で止まると困る工程)
  2. どの段階で「できる」とするか(4段階くらいの記号)
  3. 誰が、いつ更新するか

この3つが決まれば、スキルマップは自然と一枚にまとまります。

手順を小さく分けて作る

作業を並べ、できる度合いを記号で埋め、穴を見つけるという流れを表で確かめる担当者の説明図

最初から全工程をそろえようとせず、小さく始めましょう。

まず、止まると困る作業を5つほど書き出す。 全部の工程をいきなり並べると、表が大きくなって手が止まります。 「この人が休んだら困る」と感じる作業から、5つくらい横に並べれば十分です。 現場の不安そのものが、最初に埋めるべき列を教えてくれます。

次に、できる度合いを4段階の記号にする。 ○×の2段階だと、「一応できる」人と「一人で任せられる」人が同じに見えてしまいます。 たとえば「◎=教えられる/○=一人でできる/△=補助つきでできる/空欄=未経験」のように、4段階くらいに分けると現場の実態に合います。 記号を埋めると、できる人が一人しかいない作業=属人化している工程がはっきり見えてきます。

その後、次に誰が何を覚えるかを一つだけ決める。 穴が見えたら、いちばん危ない作業を一つ選び、「誰が・いつまでに・△を目指す」と小さな目標を立てます。 一度に全員の多能工化を狙わず、一人が一作業を覚えるところから。 覚えたら記号を更新する。この繰り返しで、現場全体の層が少しずつ厚くなっていきます。

スキルマップは、人を評価して順位をつけるための表ではありません。 あくまで「どこが手薄か」を現場で見える化し、育成の順番を決めるための道具です。 評価や手当に結びつける場合は、本人の納得や社内ルールとの整合が必要になるので、慎重に進めると安心です。

スキルマップづくりのチェックリスト

全部の工程を一度に埋めなくて大丈夫です。 まずは、いちばん不安な作業を一列だけ書いてみる。それが多能工化の始まりです。

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スキルマップは、一度作って終わりではありません。 一人が一作業を覚えるたびに、記号をひとつ塗り替えていく表です。

派手ではなくても、今日の確認作業がものづくりの信頼を守っています。 「あの人しかできない」を一つ減らそうと考え始めた時点で、現場はもう強くなり始めています。

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